【書評】中学受験という選択

 中学受験の経験がないため、中学受験の基礎知識となる本は手当たり次第読んでいたが、この本の著者であるおおたとしまささんの本はさすが教育ジャーナリストだけあって最新のデータに基づいた話の展開で説得力もありつつわかりやすい。

 中学受験を検討する時期のもっとはじめの方に読めていたら知識を得るには1冊でも十分だっただろう。

 様々な方向からの感覚的な話の中でも中学受験を選択するということは、ミネラルウォーターを買う感覚に近いという例えがとても面白いと思った。田舎に住んで入れば水も綺麗だし自由に手に入るのにわざわざ買って飲むという感覚を持つことはなかったであろう。かくいう私も東京に住んで長年経つうちにミネラルウォーターを常に買って常備している生活にすっかり変わってしまっている。

 中高一貫の私立中学というミネラルウォーターの美味しさを知ってしまったからには、お金はかかるにしろ子どもの道として選択することがもう当然と思ってしまっている。これは都内に住む宿命なのだろう。あとはしっかり3人ぶんの学費を働いて稼ぐのみだ。

 中学受験をする迷いはもう無くなっているのであるが、息子に男子校を選択するという点に関してはまだ未知の領域だけに共学でもいいんじゃないか?という逃げも残っていた。そこでもう一冊タイトルに惹かれたので読んで見た本がある。

 同じ著者であるが、男子校の内容に特化していて、全国各地の名門男子校の校長先生のインタビューがほぼ半分以上であった。どの学校長も声を揃えて言っているのが、男子にのみ適した教育方法があるという点。

 女子がいると男子と同じ働きかけではどうしても弊害になる部分が発生してくるということと、男子だけの世界はとても楽しくて過ごしやすく成績も伸びやすいということもどの学校からも違った言い回して繰り返し書かれていた。

 身につまされた部分としては、家庭に常に母親(女)がいるということで男は無意識でも常に生きづらさを感じているんだということと、ダブルバインドコミュニケーションの問題。

 ダブルバインドは一見子どもの選択を尊重していて「あなたの好きなようにしなさい」といっても結局は「私を満足させるようにやりなさい」と逃げ道を塞いでいる「表面的に優しい親」が男子に及ぼす悪影響はとっても心当たりがあり、男子に限らず娘と会話をするにも今後十分注意していかないといけないなと感じた。

 

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