【書評】中学受験
とにかくすごい本だった。文庫サイズにこんなにも情報がつまっているとは。ジャーナリストってすごいなと感嘆する。事態の真相を追求していくことに時間を注げる人って強靭なメンタルの持ち主なんだろうな。とにかく参考文献の量も多くてとっても凝縮された内容だった。中学受験を考え始めたもっと早い段階に読んでおけばよかったな。
統計データとしては古いものになるため全てが参考になるわけではないが、ここまで受験戦争が加熱してしまった背景、進学塾の経営裏事情、高校募集停止の理由、私立校進学後のいじめや中退者の存在、中高一貫校VS私立校の現状など、キレイゴトばかりではない現実に鋭くきりこんでいる。
データからの分析もインタビューによるリアル話も説得力があり、受験合格後に華々しい学校生活が待ち望んでいるとは限らない現実を覚悟しておく必要もあると思った。いろんな視点から考えさせられるいい本だった。
本当に進学塾も私立高も優秀な子どもを奪い合っている状況には疑問を感じる今日この頃。結局は子ども全体の底上げをしないと意味はないだろうと思ってしまう。
公立中高一貫校は小学校の学習指導要領にそっておこなわれる適性検査であると言ったって、塾に通っていないと作文形式の問題には歯がたたないし、結局学校の成績次第で落とされるんであれば優秀な子どもしか選ばれない。納得いかない。すでに磨かれきった輝く子達をコレクションのように並べるのではなく、磨けばこれからまだまだ光る原石を集めて光らせてくれる教育現場はないのだろうか。
頑張って身の丈以上の私立にいっても大学進学を目的に勉強習慣と課題を詰め込まれるのであれば6年間という長い期間は3年間の通塾生活よりも過酷なものになってしまうのかもしれないな。後悔がないように学校選びもっとリサーチしないと!